師茂樹氏(花園大学 情報歴史学研究室)

情報歴史学研究室は、花園大学文学部文化遺産学科にある情報歴史学ゼミの教員・学生が中心となって活動している研究グループです。 情報歴史学とは、コンピュータを使って歴史研究を行う新しい研究分野ですが、本研究室ではここ数年、3DCGを用いた復元に力を入れて取り組んでいます。 資料調査や古文書の検討、3DCGの作成といったほとんどのプロセスで、学生が中心となって主体的に研究活動を行っています。

以下にご紹介させていただくのは、2009年に文化遺産学科の明珍健二准教授が発見した幕末のものと思われる下京四番組・梅忠町(現在の烏丸三条~東洞院三条)の文書に基づいた京町家の復元3DCGです。 この文書には、当時、梅忠町にあったほぼすべての町家の間取り図(二階を含む)が含まれていました。 二階を含めた江戸時代の図面はこれまでほとんど見つかっておらず、この文書によってあまり進んでいなかった江戸時代の京町家の研究が大きく進展することが期待されます。

3DCGはほとんどSketchupで作成しています。 作成を通じて、京町家についての通説を再検討しなければならなくなるような知見が得られました。

 

京町家 正面 京町家 正面
現在、京都で見かける町家は、明治時代以降に二階の屋根を上げたものがほとんどで、江戸時代の町家はこのように二階が低かったことが各種史料から明らかになっています。 またこの町家は、奥行きよりも間口が広く、所謂「うなぎの寝床」とは異なる構造になっています。
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京町家 店 京町家 店
通りに面している部分は店となります。江戸時代は江戸、大阪、京都で調度品の大きさや形が異なっていましたので、民俗学の教員の監修のもと、すべて京風のもので作ってあります。 また質感を出すために、出格子などの建具や調度品はすべて面取りをするなど、細部にこだわって作成しています。
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京町家 通り庭 京町家 通り庭
町家の特徴のひとつである通り庭(玄関から奥まで続く土間)です。この画像だけ影をつけていません。 というのも、幕末には現在のような屋内の照明設備がありませんので、歴史的に忠実に再現しようとすると、現代人の感覚では真っ暗に見えてしまうからです。 このあたりは、前近代の景観を3DCGで再現する際のひとつのジレンマとなっています。
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京町家 裏庭 京町家 裏庭
庭がどうだったのかは図面にはほとんど描いてありませんので、復元には苦労をします。 また、井戸やトイレの配置なども通例には見られないものだったので、様々に議論をして一応、このような形となっています。
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京町家 側面 京町家 側面
側面は隣家と接しているので実際にはほとんど見えないところです。 左側の町家(右の三棟は蔵)の屋根が、寺院などの反った屋根とは反対に、少し膨らんでいるのがおわかりになるでしょうか。これはムクリと言って町家に特徴的な屋根の形態です。
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